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サーチ クックメディカル

胸部大動脈瘤


疾患と治療について

症状

残念ながらほとんどの場合、胸部大動脈瘤には自覚症状がありません。
自覚症状がある場合には、胸部や背中が痛む、呼吸がしにくい、ものが飲み込みにくい、声がかれたり咳が出たりする、などがありますが、これらに限らず、こうした症状がなくても胸部大動脈瘤ができていることがあります。

他の理由で検査を受けている時に胸部大動脈瘤が見つかることがよくあり、多くの場合、CTスキャンや超音波検査、血管造影検査などで見つかります。

治療法

胸部大動脈瘤が小さく、大動脈が完全に破れていない場合は、経過観察とし、医師が定期的に診断します。診察では、胸部大動脈瘤が大きくなっていないか、また、なっている場合はどれくらい大きくなっているかを診断します。胸部大動脈瘤への圧を下げるため、血圧を下げる薬が処方されることもあります。

しかし、胸部大動脈瘤が拡大傾向にある場合や、急速に拡大している場合は、破裂する危険性が高まります。

医師が胸部大動脈瘤破裂の危険があると判断した場合、破裂しないように、または、身体の他の部位への血流に影響をおよぼさないように、治療を受けることを勧められることがあります。胸部大動脈瘤の治療法には次の2 つの方法があります。

  • 開胸手術
  • 血管内治療
重要注意事項:血管内治療および開胸手術は、すべての患者さまに適応できるとは限りません。どちらの治療法にも利点と欠点があり、患者さまの健康状態やご希望を考慮した上で、最適な治療法を決めていきます。2 つの治療法の利点と欠点について、医師からしっかりと説明を受けてください。
開胸手術

この治療法は、胸部大動脈瘤のできた大動脈部分を修復する外科手術です。胸部大動脈瘤を直接治療するために、胸骨か胸の側部に沿って切開し、胸部大動脈瘤部分を人工血管に置換します。

人工血管は大動脈部分に縫付けられ、血管の役割を果たします。人工血管置換中は、大動脈への血流が遮断され、手術には通常4 時間程度かかります。

開胸手術は従来から実施されている治療法で、利点もあります。利点の1つとして、術後に長期にわたる定期検診を必要としません(血管内治療の場合は長期間の定期検診が必要です)。開胸手術とZenith Alpha®胸部エンドバスキュラーグラフトに類似するエンドバスキュラーグラフトを用いた血管内治療とを比較した過去の臨床試験(STARZ-TX2)によると、開胸手術は長い回復期間を必要とします。手術後、3 ~ 4週間程度の入院が必要です。完全に回復するまで、3ヵ月かかることもあります。

他の医療処置とおなじく、開胸手術においても合併症の危険があります。
詳細については、担当医師にご相談ください。

血管内治療

血管内治療は開胸手術に代わる治療法です。「エンドバスキュラー」とは、「血管内」または「血管内部」という意味があります。従来の開胸手術では胸部を大きく切開しますが、この血管内治療では、まず脚のつけ根付近(鼠径部/ そけいぶ)を小さく切開し、大腿動脈への入口を確保します。
この小さな切開部から、エンドバスキュラーグラフトを収納したプラスチック製チューブ(シース)を挿入し、胸部大動脈の病変部を超えるまで、慎重に押し進めます。次にエンドバスキュラーグラフトを展開します。ステントは大動脈の内径と同じ大きさになるまで自動で拡張します。エンドバスキュラーグラフトが胸部大動脈瘤への血流を遮断し、動脈壁を内側から支持します。これにより、胸部大動脈瘤の拡大と破裂の危険性をくい止めることができます。

血管内治療では、切開部が開胸手術での切開部よりも格段に小さいため、痛みも少なく、回復も早くなります。1 ~ 2週間程度の入院で済む場合もあり、通常、術後4 ~ 6週間程度で日常生活に戻ることができます。

他の医療処置と同様、血管内治療にも合併症の危険が伴います。その点について担当医師とよく話し合ってください。血管内治療を受けた後は、定期検診が必要となります。定期検診では、患者さまの健康状態やエンドバスキュラーグラフトの状態をチェックします。血管内治療後、追加の治療や外科的処置が必要となる場合もあります。

胸部留置例胸部留置例
術後の定期検診

Zenith Alpha®胸部エンドバスキュラーグラフトを留置された患者さまは、その後、担当医師による定期検診を受けていただくことがとても重要です。その理由は、血管内治療に関する長期的な成績がまだはっきりと分かっていないためです。胸部大動脈瘤やエンドバスキュラーグラフトの状態を、画像(エックス線やCTスキャン)で定期的に診断する必要があります。これによって、エンドバスキュラーグラフトから瘤への血液の流入や、エンドバスキュラーグラフトの移動がなく、胸部大動脈瘤が拡大していないことを確認することができます。診断結果によっては、追加の治療や検査が必要となることもあります。

術後は、以下の時期を含め、定期検診を行うことが推奨されます。

  • 1ヵ月目
  • 6ヵ月目
  • 1年目
  • その後は年1回

定期検診では通常、血液検査、エックス線検査、CTスキャンおよび身体検査などを行います。これらの検査にも多少のリスクがあり、まれに、CTスキャンで使用される造影剤に対するアレルギー反応が見られる場合がありますが、こうしたリスクよりも検査の重要性が上回ると考えられます。検査に関して何か不安な点がありましたら、担当医師に相談してください。医師から特に注意すべき点などについて説明があります。

定期検診は、患者さまの健康のため、生涯にわたって受けていただかなければならないものです。治療がうまくいっているか、時間の経過に伴う変化を確認することは、非常に重要です。定期検診の結果によっては、他の検査が必要となることがあります。

血管内治療のリスク

胸部大動脈瘤の血管内治療は、死亡などのリスクを伴う外科的処置です。ほかにも、以下の臓器にかかわる合併症のリスクがあります。

  • 脳(脳卒中など)
  • 脊髄(対麻痺など)
  • 心臓(心臓発作など)
  • 肺(肺炎など)
  • 腎臓(腎不全など)
  • 消化管(腸閉塞など)

治療法とあらゆるリスクについて医師とよく話し合い、血管内治療がご自身に適しているかどうかを判断することが重要です。

Zenith Alpha®胸部エンドバスキュラーグラフトを使用した治療には、次のようなリスクを伴うことが考えられます。

  • エンドバスキュラーグラフトから瘤内への血液の流入や、エンドバスキュラーグラフトの移動によって、大動脈瘤が大きくなり続ける場合、または大きくなるリスクがある場合には、再度の血管内治療や開胸手術が必要となることもあります。
  • 血中またはどこかの臓器に感染症がある場合、エンドバスキュラーグラフトの感染リスクが高まる可能性があります。
  • これまで、MRIの際にエンドバスキュラーグラフトがどのような反応を示すかを評価してきました。これらの研究結果にもとづき、エンドバスキュラーグラフトはMR Conditional(MRIについて特定の条件のもとで安全)と表示されています。MRI装置の設定が本品の添付文書に記載している条件でない場合、リスクが発生する可能性が考えられます。MRI を受ける際は、必ず事前に医師に相談してださい。
  • 血管内治療後に胸部大動脈瘤の拡大や破裂が発生することはまれですが、ないとは言えません。拡大や破裂は必ずしも自覚症状を伴いませんが、よくある症状の例として以下のものがあります。
    • 痛み(背中や胸部)
    • 手や足が冷たくなる
    • 足の脈が感じられない
    • 失神
    • 腸の虚血
    • 胸がドキドキする(頻拍)
    • しつこい咳
    • 突然の脱力感
    • めまい

上記のような症状があらわれた場合には、直ちに担当医師に連絡してください。詳細は担当の医師におたずねください。